【“たった一人の女性”のために考えられた「すじ青のり」のプロジェクト・パケマツ】
こんにちは!
世界初、徳島発、パッケージマーケッターの松浦陽司です。
今日はちょっと遅い投稿になってしまいました。
今日の話は「プロジェクト・パケマツ」で
徳島ぎょれんさんの「すじ青のり」のパッケージ開発のお話です。
ところで「すじ青のり」って何か分かりますか?
わからない人が多いですよね(笑)
こんなんです。
うーん、ますます謎を深めましたか(笑)?
ちょっと味や香りについては後ほど説明しますね。
一応、競合を調べるとこんなんが多かったですね。
うーん。
あんまり力を入れている会社ってないのか?
透明袋に簡単なシールばっかり。
裏面には使用例を書いたシールなどもありました。
そもそも「すじ青のり」がお客さんがまったく知らない商品なので、
選びようがないんですよね。
そこでヒアリング。
松浦「どんな風に使ったらいいのですか?」
漁連「お茶漬けにかけても、うどんにかけても、
豆腐にかけてもいいんです。
何にかけても、すごい風味豊かになるんです!
これが強みです!」
松浦「そうですか!それが強みなんですね!
それで、他社のすじ青のりはどうなんでしょう?」
漁連「他社のすじ青のりも一緒ですね」
うーん。
これまた困ったな。
「自社の強み」と思っていることでも、「他社の強み」だったら、
残念ながら「お客さんにとっての強み(魅力)」にならない。
ここでちょっと試食。
すじ青のりの袋を開けてみました。
すると(私の中)で、世界に一変!
「なんて素晴らしい香りだ!料亭のような香りがする」
そして、3C分析!
競合他社が「低価格、産地不明、パッケージは青・白・緑、品名のみ、使用例」が多いので、
漁連さんは「吉野川産、香り、高級感、シーンを伝える、ネーミング」を変えてみよう。
競合他社が「産地不明×なんでも料理」なので、
漁連さんは「吉野川産×旦那へのおもてなし料理」のポジショニング!
競合他社が「品名のみ×使用例」なので、
漁連さんは「シーンを想像する×独特ネーミングで伝える」のポジショニングをとることにしました!
そして、できあがったパッケージはこちら!
「ちょっとひとふり 高級料亭の味 すじ青のり」
うーん、いいかんじじゃないですか?
実はこちらの商品、こんなひとりの女性をイメージしてデザインされました。
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小倉悠里さん 52歳
長男(大樹)27才は結婚し千葉在住。
次男(春樹)22才もこの春から就職して県外へ。
久々に夫(直樹)54歳と二人暮らしが始まった。
子供が二人とも県外に行っちゃうな。
春から寂しくなっちゃう。
・・・あ、そんなことないか、私には直樹がいるじゃない!
新婚に戻った気持ちで、これから夫と二人で、ちょっとラブラブしようかな(笑)
直樹とは新婚のころはよく二人で外食に行ったわ。
特に和食が好きだったわね。
でも最近は外に出るのをおっくうがるから。。。
家で料亭気分を味わえないかしら?
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こんなふうにたった一人までお客さんを絞り込むことを「ペルソナ」といいます。
こんな小倉さんなら、必ず買うこと間違いないでしょう!
出来上がったとき、ぎょれんさん、喜んでくれましたね!
それが私にとっても嬉しいことです。
この記事を書いた人
パッケージマーケッター 松浦陽司
1974年、徳島県徳島市生まれ。著書「売れるパッケージ5つの法則と70の事例」と「売上がグングン伸びるパッケージ戦略」を出版。パッケージマーケティングの創始者。パッケージの企画やデザインだけではなく、商品開発の根幹であるブランディングも行い、多数の成果をあげている。中身商品は同じでも、パッケージを変えただけで売上10倍になったり、単価が5倍になったりする事例を生み出している。その他、執筆活動、講演活動なども行う。ブランド・マネージャー認定協会2級&1級&ミドルトレーナー。