心にしみる顧客満足⑨ ~中村文昭さん~
【9】 予想を上回る廃品回収
ある時、中村文昭さんは、お客さんに頼まれました。
お客 「あの、ちょっとお願いが」
中村 「ハイ、やりましょう」(0.2秒)
お客 「え、いや、まだ何も言ってないんですけど」
中村 「いえいえ、やりましょう。私はあなたに対して、“ハイ”と“YES”しか持っていません」
お客 「中村さんは変わった人やね。それじゃ、日曜に地区で廃品回収をするんやけど、お宅のトラックを1台貸してくれるで?できたら中村さんも手伝ってくれたら嬉しいんやけど?」
中村 「はい、やらせていただきます」(0.2秒)
その時既に、中村さんは(…しめしめ、頼まれごとが来た!試されてる!ここはひとつ、絶対にお客さんの予想を上回ったろう)と考えていました。
当日、師匠も引き連れて、トラック3台、6人で廃品回収場所に行きました。
まず、ここで1台、1人だと思っていたお客さんの予想を上回ります。
そして、師匠を中心に円陣を組みます。
「よし、俺らがやることは“予想を上回る廃品回収”や!」
それから6人は3台のトラックを使って、猛烈な勢いで廃品回収を始めました。
そんなことしたって、お金にはなりませんが、関係ないのです。
6人は「0.2秒で返事」をしたら、「頼まれごとは、試されごと」と考え、「できない理由は考えず」、「今、できることをやる」だけなのです。
お客さんは「なんでそんなに一生懸命なん?」と聞きます。
すると6人は「私たちは今、できることをやってるだけなんですわ」と答えます。
廃品回収後、お客さんからは「あんたら、ほんまにようやってくれたな、有り難う」と言って頂きました。
それから後日、お客さんが野菜を買いに来てくれたときに、「この間は有り難うな。野菜を買うところは他にもあるし、安いスーパーもあるけど、あんたのところから野菜を買いたいんよ」と言ってくださいました。
また、他のお客さんは「君のことが好きやから、お客さん連れてきたよ」と紹介をしてくださいました。
そして、この口コミがどんどん広がって、大繁盛していきます。
中村さんは「この子たちのところで買いたい」と言ってもらい、本当に嬉しかった。
「心が、思いが、お客さんに届いたら、お客さんが来てくれる」
「値下げなんて小学生にでもできる。そうでなく、僕たちがやるのは心を、思いをつたえることなんや」と感じたのです。
この記事を書いた人
パッケージマーケッター 松浦陽司
1974年、徳島県徳島市生まれ。著書「売れるパッケージ5つの法則と70の事例」と「売上がグングン伸びるパッケージ戦略」を出版。パッケージマーケティングの創始者。パッケージの企画やデザインだけではなく、商品開発の根幹であるブランディングも行い、多数の成果をあげている。中身商品は同じでも、パッケージを変えただけで売上10倍になったり、単価が5倍になったりする事例を生み出している。その他、執筆活動、講演活動なども行う。ブランド・マネージャー認定協会2級&1級&ミドルトレーナー。
2 件のコメント
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なるほどと思いました。こういう事が中村さんのように自然に思うことができたら、仕事も人生も楽しいものになるのだなと感じました。私も、お客様に対して満足いただける日頃のサービスが自然にできるような人になりたいです。
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相手の予想を上回ることを常に考えていると楽しくなるかと思います。」顧客満足の創造になります。常に考えて実行されている広沢自動車さんなんかは凄いと思います。