心にしみる顧客満足⑩⑪ ~中村文昭さん~
【10】六本木のバー
師匠から命ぜられました。
師匠 「おい、中村、六本木でバーを開け。4カ月後や」
中村 「…え、六本木って、バーって、ぼくは野菜しか売ったことないんですよ。三重の田舎もんですよ。しかも4カ月って、師匠、それはあまりにも…」
この瞬間、中村さんは師匠にボコボコに殴られました。
師匠 「あほ!できない理由言うな!自分の都合を言うな!0.2秒で返事せえ!」
さらに殴られた後、素敵な言葉をプレゼントしてくれました。
師匠 「ぐだぐだ言わんとやってみぃ!できるから!」
【11】修業先から脱走
翌日から、ホテルのレストランで修業のためのバイトが始まりました。
「ホテルで仕事なんて、格好いい」と思って仕事に行きましたが、現実は朝から晩まで皿洗いです。周りの人も、「どうせ、4カ月で辞める皿洗いや、皿洗いだけさせておけ」という態度です。
「ここにおったらアカン、ぼくは4カ月後にバーを開店せなアカンのに、皿洗いだけで4カ月が終わってしまう」
中村さんはそう感じ、1週間でホテルを逃げ出し、師匠のところへ行きました。
そこで、師匠の言葉に打ちのめされるのです。
中村 「師匠、あきませんわ。ホテルでは皿洗いばっかりです。4カ月後のバーなんて、夢のまた夢ですわ。修行場所変えてほしいんですわ」
師匠 「あほ!お前はまた、自分の都合で考えとるな!人からしてもらうことばっかり考えよって!“仕事を教えてほしい”“他の仕事をやらせて欲しい”とかそんなことばっかり考えとるやろ!」
中村さんは言いわけしている自分に気づきました。
師匠 「お前、そんなこと考える前に、その仕事を一生懸命やったか?今、できることは何や?皿洗いやろ!与えられた仕事も一生懸命せえへん奴に、他の仕事なんて回ってくるわけないやろ!」
中村さんは、今、できることも一生懸命やってなかった自分に気づきます。
師匠 「中村なぁ、最低の仕事の中にチャンスがあるんや。皿洗いは最低の仕事やろう。その仕事を一生懸命にするやつが認められるんや。与えられた仕事を一生懸命せえへん奴が、場所なんて変えたって成長せえへん。場所を変えたら、また違う言いわけするだけや。今、できることをせえ!ホテルに戻れ!」
そうやって、中村さんはホテルに戻って行きました。
この記事を書いた人
パッケージマーケッター 松浦陽司
1974年、徳島県徳島市生まれ。著書「売れるパッケージ5つの法則と70の事例」と「売上がグングン伸びるパッケージ戦略」を出版。パッケージマーケティングの創始者。パッケージの企画やデザインだけではなく、商品開発の根幹であるブランディングも行い、多数の成果をあげている。中身商品は同じでも、パッケージを変えただけで売上10倍になったり、単価が5倍になったりする事例を生み出している。その他、執筆活動、講演活動なども行う。ブランド・マネージャー認定協会2級&1級&ミドルトレーナー。
4 件のコメント
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金太郎は好きです!!
だからかな
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>タクドラの金太郎さん
いえいえ。
私も言いわけをよくしてしまいます。
中村さんのように言いわけに気づいて、カイゼンできる人間になりたいと思います。
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引きこもりを元気にする繋がりで、何度かお話ししたことがあります。
文昭さんも私のことを知っています。
文昭さんは、本当にすごい方ですよね…
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>松江隆明さん
そうでしたか!
お知り合いでしたか!
人のご縁はつながりますね。