中村文昭さん【3】 「こんな人生は歩みたくない」っていう人生
それでも両親、特に父はカメラマンになることを許しませんでした。
兄「俺、カメラマンになる。東京の師匠の弟子入りも決まった」
父「なんでやねん、お前なら大学も行けるやんか!」
兄「いやや、俺はカメラマンになるねん」
父「俺はお前のことを思って言ってるんや!なんで分からんのや!」
全く話は平行線でしたが、兄が決定的な言葉を発しました。
兄「俺には“絶対にこんな人生は歩みたくないっていう人生”があるんです」
父「それはどんな人生や」
兄「それは、お父さんみたいな人生ですよ!」
父「なんだと!」
父は大怒りで兄を殴りました。しかし、兄は続けます。
兄「お父さんの人生は、じいちゃんのレールやろ。お父さん、よう愚痴言ってるよな。“俺にはほかにしたかったことがあった”とか、“後悔だらけの人生や”とか、でもおじいちゃんのせいにして逃げてきたやないか!そんな愚痴だらけの人生なんて俺は嫌や!俺にもそんな人生を歩まさんといてくれ!」
父は怒り心頭で、10万円を兄に投げつけ、「出ていけ!」と怒鳴りつけました。
兄はその10万円を拾い、上京していきました。
兄は部屋を出るときに、私のほうを見て、「やったぞ!」という表情をしました。
私は一部始終を見ていて心が震えたのです。
「高校3年生って、こんなに夢に溢れているんや!」
この記事を書いた人
パッケージマーケッター 松浦陽司
1974年、徳島県徳島市生まれ。著書「売れるパッケージ5つの法則と70の事例」と「売上がグングン伸びるパッケージ戦略」を出版。パッケージマーケティングの創始者。パッケージの企画やデザインだけではなく、商品開発の根幹であるブランディングも行い、多数の成果をあげている。中身商品は同じでも、パッケージを変えただけで売上10倍になったり、単価が5倍になったりする事例を生み出している。その他、執筆活動、講演活動なども行う。ブランド・マネージャー認定協会2級&1級&ミドルトレーナー。