【売上2倍以上になった後、「まさか」の理由で生産停止!「今夜は焼肉じゃ」パッケージの裏話】
商品自体にお客さんは興味を持たなくなりましたね。
だって、お客さんにとっては、どこの商品も同じようなもんです。
例えば「焼肉のたれ」!
どこも商品名は「焼肉のたれ」!
それよりもちゃんと、商品の裏側にあるストーリーや思い、風景を伝えないと!
あ、朝から熱くなってます。
世界初、徳島発、パッケージマーケッターの松浦陽司です。
実は2年前に関わらせてもらったこの「焼肉のたれ」は今は手に入らなんくなっちゃったんです。
理由はパッケージリニューアル後、売れすぎた後の「まさか」の理由!
北灘婦人会さんが30年間使っていた焼肉のたれののパッケージリニューアルの依頼を頂きました。
ちなみに、リニューアル前がこちらのパッケージでした。
「わかめ入り 焼肉のたれ」
うーん、やりがいがあるぅ~。
なんせ、
食品ではタブーとされる寒色系の色使い。
そして「焼肉のたれ」としか書いてない。
そこでいろいろとヒアリング!
ここ会長である松本隆子おばあちゃんにいろいろと話を聞きました。
私がぴんと来たのは、松本隆子おばあちゃんと孫とのエピソード!
「うちの孫は“おばあちゃんの焼肉のタレじゃないと嫌じゃ”っていうんよ」
と、隆子おばあちゃんは嬉しそうに話しておりました!
ここからヒントを受けて、生まれ変わったのがこちら!
「今夜は焼肉じゃ」
まず、ネーミングがまるっきり変わりました(笑)
「今夜」と絞り込んでいるのがいいでしょう!
まあ、大抵は焼肉は夜ですからね!
更には「タレ」とも大きくは書いてない。
「焼肉じゃ」という阿波弁での語り口調です
さらに、おばあちゃん温かさを表現するために、
メインカラーを寒色の青から思いっきり変えて、暖色系に。
おばあちゃんのイラストも入れました。
「たか子おばあちゃんの手造り焼肉のたれ」とも表示して、手づくり間もPRしました。
どうでしょうか?
温かい食卓をイメージしてしまいませんか?
もう一度、ビフォー・アフターで見るとこんな感じです。
before
after
これは売れますよね!
実際に、それまでは3店舗でしか販売してなかったのですが、
このパッケージリニューアルで7店舗が取り扱いを始めました!
「うわー!今夜はこのタレで焼肉食べたい!」
そう思った方、
・・・・大変、申し訳ありません。
さて、実はこの商品、現在は製造中止になってしまいました。
理由は、理由は、まさかの理由。。。
売れすぎたことで保険所さんから電話が来たそうです。
保険所「あの~、食品の製造許可ってとってますか?」
婦人会「・・・ん?!なに、それ?!」
そうなんです。
30年間、製造許可を取ってなかったんです。
それが取扱店舗が増えた途端に保険所さんから見つかってしまい、
まさかの生産停止!
ちなみに、婦人会の皆様は本当に誰ひとりとして「製造許可」のことを知らなかったんです。
「そんなのなくても30年間売ってたわよ」ということなんです。
現在は製造許可を取るために動いているそうです。
今しばらくお待ちくださいっ!
この記事を書いた人
パッケージマーケッター 松浦陽司
1974年、徳島県徳島市生まれ。著書「売れるパッケージ5つの法則と70の事例」と「売上がグングン伸びるパッケージ戦略」を出版。パッケージマーケティングの創始者。パッケージの企画やデザインだけではなく、商品開発の根幹であるブランディングも行い、多数の成果をあげている。中身商品は同じでも、パッケージを変えただけで売上10倍になったり、単価が5倍になったりする事例を生み出している。その他、執筆活動、講演活動なども行う。ブランド・マネージャー認定協会2級&1級&ミドルトレーナー。