【澪(みお)の「自社都合」でなく「顧客ニーズ」から変化したパッケージマーケティング】
「あなたの会社はイノベーションを起こしていますか?」と突然、聞かれたらなんて答えますか?
この問いに
「え?起こしてるよ。より美味しくなるように改良を重ねているよ」
「今より精度が高くできるように技術を一生懸命に磨いている」
と答えているなら、、、たぶん、イノベーションは起こっていないですね。
実はこれは「改善」とか「改良」の範囲内。
自社でできることの、延長線上の発想なんです。
この間、エクストの高畑さんから聞いた「澪(みお)」というお酒の話。
まさに「イノベーション」だったので紹介します!
そもそも日本酒であれば
「より良い味」
「さらにまろやかに」などという改良をしそうなもんです。
でも、これは先ほど言ったように、自分都合の過去の延長線上の発想なんです。
「イノベーション」は「顧客のニーズ」からスタートします。
つまり、自社が
「こんなん作ったら売れるかな?」
「こんな商品が作れるけど、どうやって売ろう?」じゃないんですね。
お客さんが
「こんなんあったら買うのになーーーー」
そう熱望するような商品を作ること。
そこで、宝酒造は「お客様のニーズ」を調べていきます。
そして生まれたのが「澪(みお)」です!
特徴は
・スパークリング清酒
・アルコール度数5%
・マスカットやりんごのような香り
・150ml入り
・パッケージデザインが女性向け
うーん、これは日本酒なのか?
おそらく、普通の日本酒酒蔵の人ならツッコミどころ満載です!
・スパークリング清酒
→・・・って、日本酒ちゃうやん!
・アルコール度数5%
→・・・って、日本酒にしたら低すぎるやんっ!
・マスカットやりんごのような香り
→・・・アホか!なんで日本酒がフルーツの香りすんねんっ!
・150ml入り
→・・・少なすぎるわっ!
・パッケージデザインが女性向け
→・・・日本酒は男の飲みもんだろーーー!!!
うーん、突っ込んでますねー。
おそらく関西系の酒蔵では(笑)
でも、それってよく見直すと、
「自分都合」の「過去の延長線上」じゃないですか?
宝酒造は「顧客のニーズ」からスタートしました。
買って欲しいお客さんを若い人に設定して、
「どうしたら若い人が日本酒を飲むようになるか?」
「若者はどんなお酒を好んでいるか?」
を徹底的に考えたんです。
すると、
・発泡してる方がいいみたい
・アルコールは低いのが好まれる
・フルーツの香りがすると飲みやすい
・飲みきりサイズで少なめ容量
・女性にも喜んでもらえるように
こんなことをとことん考えての「イノベーション」だったんです。
「自分都合」ではなく「顧客ニーズ」
「過去の延長線」ではなく「非連続の成長」
まさに、イノベーションを遂げたんですね!
日本酒をイチから作り直した商品です!!
めっちゃ面白い!
高畑さん、勉強になりました!
パッケージもこうやって「顧客ニーズ」から考えていきます!
ありがとうございます。
画像などは澪のHPからお借りしました。
http://shirakabegura-mio.jp/
澪パーティーをしたくなるHPです!
素敵なので、よかったら見てくださいねー。
この記事を書いた人
パッケージマーケッター 松浦陽司
1974年、徳島県徳島市生まれ。著書「売れるパッケージ5つの法則と70の事例」と「売上がグングン伸びるパッケージ戦略」を出版。パッケージマーケティングの創始者。パッケージの企画やデザインだけではなく、商品開発の根幹であるブランディングも行い、多数の成果をあげている。中身商品は同じでも、パッケージを変えただけで売上10倍になったり、単価が5倍になったりする事例を生み出している。その他、執筆活動、講演活動なども行う。ブランド・マネージャー認定協会2級&1級&ミドルトレーナー。