【「安売り」から起こる「猜疑心の証明」からの「クレーム連鎖」】
<安売りスパイラルの恐怖>
「お客様が買ってくれない!
価格が高いからかな?
じゃあ、値下げしよう。
きっと、これで買ってくれるはず!」
そう思って値下げする経営者や営業マンがなんと多いことか!
しかし、それで売り上げは伸びましたか?
逆に下がってませんか?
<猜疑心の証明>
人は安い商品やサービスには猜疑心を持ちます。
まず、値段を見た途端に
「うわっ、安い!すごい!」と直感的に思います。
しかし、その0.2秒後に
「待てよ、この商品の安さは何か理由があるのでは?」
と探り始めるのです。
「実は、この商品は古いのでは?」
「売れ残りで困っているんじゃ」
「ははぁーん、製造ロスを売りに回してるんだな」
「超安い原材料を使ってるんじゃないの?」
そう、「安い」という「猜疑心」を証明するための理由を考え始めるのです!
なんと、恐ろしい!
<クレームが多いのは、がんばって安売りした商品>
あなたが一生懸命に値段を削って、商品を売ったとします。
それなのに、お客様は「猜疑心の証明」をしてしまうんです。
なんと、悲しい。
さらに起こるのが、実は「クレーム」です。
「まあ、普通3000円のものが、1000円で売られてる。
きっと古いんだろうな。でも1回は試してみるか」
こんな風に感じて、買ってくれるお客様がいたとします。
その商品を使って
「やっぱり、調子悪いじゃん!
古くて劣化してるに違いない」とクレームを入れてくるのです。
ふだんなら、3000円で売っていたら、
気にならないレベルの違和感でも
「これは古いから」と、猜疑心の証明をして、クレームを言ってくるのです。
恐ろしい話です。
<話は変わりますが、凛からの課題図書「トムソーヤーの冒険」を読了>
小さいころにアニメを見たはずなんだけど、
全然覚えてなかったので、楽しく読めました。
ボクが昔見たアニメの記憶で、唯一覚えていたこと。
「壁のペンキ塗りを楽しそうにして、友達に手伝わせる」ってこと。
小説では(テレビでもそうだったかも知れないけど)、
単に手伝わせるだけじゃなくって、
ビー玉やガラス瓶や鍵などの友達から貰っているのです。
友達「楽しそうだな、トム。ボクにも塗らせてくれよ」
トム「ダメだよ、タダじゃ。楽しいから人にやらせたくないんだ」
友達「じゃあ、ビー玉あげるから、ペンキ塗りさせてよ」
という感じです。
なんと!
ペンキ塗りを友達に手伝わせるだけでなく、
物品まで貰っているのです。
本来ならお金を払ってでもやってもらうペンキ塗り。
これを、物品を貰って、やらせてあげているのです。
しかも、友達はペンキ塗りをしたあと
満足そうに帰っていくのです。
「やっぱりペンキ塗りは楽しい」と。
そして、トムはその章をこう締めくくるのです。
「だれかに、何かを欲しがらせるには、
たとえちょっと嫌なことであっても、
手に入れるのを難しくするだけでよいのだ」
これって、ビジネスに置いても、大きなメッセージですよね!
「安くするから、買って」というと誰も欲しくならない。
手に入れるのが難しい、価格が高いから、欲しがるようになる。
我々中小企業はこのことを考えなくてはいけないのでは?
トムソーヤーの冒険から、多くのことを教えて頂きました。
凛、ご推薦ありがとうございます♪
この記事を書いた人
パッケージマーケッター 松浦陽司
1974年、徳島県徳島市生まれ。著書「売れるパッケージ5つの法則と70の事例」と「売上がグングン伸びるパッケージ戦略」を出版。パッケージマーケティングの創始者。パッケージの企画やデザインだけではなく、商品開発の根幹であるブランディングも行い、多数の成果をあげている。中身商品は同じでも、パッケージを変えただけで売上10倍になったり、単価が5倍になったりする事例を生み出している。その他、執筆活動、講演活動なども行う。ブランド・マネージャー認定協会2級&1級&ミドルトレーナー。