【誰に、何を、どのようにを変えろ】~くりや様ベンチマークツアー~
マーケティングの基本
「誰に、何を、どのように」
これを全て変えてしまえば
未知の新境地が開けるんじゃないだろうか?
さて、ではお米の場合。
一般的なのは「老若男女に、お米を、美味しさで」でしょうね。
じゃあ、どうやって変えていきましょう?
<くりや株式会社 ベンチマークツアー>
2020年2月27日(木)
香川経営研究会ベンチマークツアー2社目に訪問させて頂いたのは
さぬき市で美味しいお米を販売!
くりや株式会社です!
経営理念は
「わたしたちは自然の恵みに感謝し お米の魅力を伝えていくことで 関わる全ての人に感動と喜び そしてやりがいを与えられる米屋です」
経営理念の中に「米屋」と入っている。
ここに徳永真悟社長の米に対する「覚悟」を感じます。
<先代社長の言葉>
徳永さんは一族直系の息子として、事業を引き継いだわけではないそうです。
「嫁婿」として、事業継承した徳永さん。
事業継承の心得として、
先代(奥様のお父様)より3つの言葉を頂きました。
1 商売は変えても良い
2 長く続けることが大切
3 大局的に物事をとらえる目を養え
これを聞いて、徳永さんは度肝を抜かれたそうです。
「商売変えてもいいってことは、米屋を辞めてもいいってこと?」
そうなんです。
もし、徳永さんに米が向いてないなら辞めてもいいと言ったのです。
そして、、雇用の問題もありますし、
企業としては長く続けることが大切。
そして、短期的な利益や、快楽に流されず。
「大局的」に物事を見ろってことなんですね。
これを聞いて徳永さんは
逆に「米屋」にこだわることになります。
理念にも「米屋」を入れたわけですから。
先代の思いが伝わった瞬間鴨知れませんね♪
<徳永流 今後の方向を決めるときのバランス>
・やりたいこと
・やれること
・もとめられること
この3つのバランスをとるそうです。
そうでないと、
自分が楽しいだけの方向に突っ走って、戻ってこれない可能性があるからだそうです。
<大切にしたい3つの価値観?>
・人には無限の可能性がある
・事実は一つ、解釈は無限
・やった人しか次の答えは出ない
<決まらない商談スタートの2パターン>
くりやさんはお米屋さんなので、飲食店や百貨店や
お客さんからよく言われるそうです。
「とりあえず見積もり」
「とりあえずサンプル」
実はここからスタートするお仕事の依頼は
かなりの確率で失敗するそうです。
「とりあえず」というのがやっかい!
ボクも経験ありますが、
「とりあえず見積もり」の場合は
「安さが基準」ってことですから
決まらないし、決まってもロクなことない。
「とりあえずサンプル」の場合は
「連絡くれたし、何もなしで帰すの悪いし」ってなりがち。
興味がもともとないから、決まらない。
「とりあえず見積もり」
「とりあえずサンプル」
この2パターンはとにかく成約率が悪い(泣)
<ホームグランドで戦おう>
数年前に、くりやさんは会社を移転!
その時に最新鋭の工場へ変えました。
この工場にお客さんを呼ぶようにしたそうです。
「まず見積もり」
「まずサンプル」じゃなくって、
「まず、会社を見に来てください」ということです。
すると、
徳永社長のお米に対する熱い想い!
そして、素晴らしい環境で作られるお米!
これを見てほとんどのお客様は
「よし、くりやさんと取引しよう」となるそうです。
ホームグランドで戦うってことは
こういうことなんですね。
<オコメールの誕生>
お米って、基本的に
「老若男女に、お米を、美味しさで」で売るんですよね。
だから、判断基準が「安さ」になってします(汗)
「これをどうにかできないか?」
そんな風に考えた徳永さんが考えたのが「オコメール」
お米1合で厚み10㎜、
2合で厚み17㎜という薄いパッケージに身を包んだお米!
デザイン面積が広いので、
自由にデザインができます。
これがなんと
「企業ノベルティ」として大ヒット!
「老若男女に、お米を、美味しさで」ではなく
「企業に、自社アピールを、オコメールで」と
まったく価値を価値を変えたのです。
つまり、競合他社がいない!
戦わない経営、さすがです!
<人間がAIに勝てるのは?>
最後に徳永さんがいわれたのは、
今後、AIが進化していく中で、
人が大切にしたいことであり、勝てるポイントです。
それは
<課題の抽出>
何に面白いと感じるのか?
何にドキドキするのか?
効率や、問題解決方法はAIがやってくれる。
でも、AIができないところ。
それが「課題の抽出」!
なるほどね。
誰が、お米をノベルティに使おうと思った?
AIが、お米を薄くパッケージしようと想像できるか?
そんな風に感じさせて頂きました!
徳永社長、ありがとうございます。
ボクも「誰に、何を、どのように」
変えるように、考えていきます!
<くりや株式会社>
この記事を書いた人
パッケージマーケッター 松浦陽司
1974年、徳島県徳島市生まれ。著書「売れるパッケージ5つの法則と70の事例」と「売上がグングン伸びるパッケージ戦略」を出版。パッケージマーケティングの創始者。パッケージの企画やデザインだけではなく、商品開発の根幹であるブランディングも行い、多数の成果をあげている。中身商品は同じでも、パッケージを変えただけで売上10倍になったり、単価が5倍になったりする事例を生み出している。その他、執筆活動、講演活動なども行う。ブランド・マネージャー認定協会2級&1級&ミドルトレーナー。