【戦略って、もともと“戦いを省略する”ってことですよね。違いを作って独自化するヤマサ鮮度の一滴パッケージマーケティング】
【戦略って、もともと“戦いを省略する”ってことですよね。違いを作って独自化するヤマサ鮮度の一滴パッケージマーケティング】
おはようございます。
世界初、徳島発、パッケージマーケッターの松浦陽司です。
孫子の兵法にありますね。
「戦わずして勝つ」と。
できれば戦って勝つのではなく、戦いそのものを避けたいですね。
さて、アナタが醤油会社の社長だったら、醤油開発はどういう競争ポイントで勝負しますか?
やっぱり一番は「味」でしょうね。
でも、これが落とし穴。
味は100点がないんです。
(正確に言うと、100人に100点は無理)
田中さんは甘いのが好きですが、鈴木さんは辛いのが好き。
九州の方に行ったら醤油の味って甘めですよね。
北陸に行ったら、辛めです。
好みがあるので100人に100点は無理なんです。
だったら、一人に150点レベルの感動を!
他の人は買ってくれなくてもいいじゃない。
そんな考え方もしてはいいのではないでしょうか?
こうすると価値観の合うお客様と、価値を共有することができます。
ペルソナマーケティングともいいます。
さて、ヤマサ鮮度の一滴シリーズは、競争ポイントが「鮮度」になってます。
発売したのは2009年。
醤油といえば瓶やペットボトルが普通ですが、ここにパウチ袋として登場!
簡単に説明すると、2重構造の注ぎ口で、注ぐときは口が開き、容器を立てるとフィルム膜がぴったりと閉じる仕組み。
しょうゆが空気に触れて酸化するのを防いでます。
ペルソナ(メインターゲット)は複数設定しているようですが、
例えばその中の一人が
●単身世帯者(ひとり暮らしの人)です。
一人で醤油を買っても、2~3ヶ月で使い切れずに、鮮度が落ちまくっている。
そんなことってありますからね。
この人たちに響くように鮮度を保てるパッケージ開発を行いました。
調味料は小売りベースで年間5億円を販売すればヒット商品とされるそうですが、
2011年は15億円を売り上げたそうです!
すごい!
さらにペルソナの声を聞き、
小さく140mlパッケージを開発したり、
2012年には立てた時の安定感を増すような改良したり、
2015年には鮮度保持期限がWエアブロックで120日から180日に伸びるという改良もされてます。
日々の努力も素晴らしいですね。
こうやってペルソナを設定すると、
競合他社との「競争」するポイントがずれて、
戦いを省略することもできるかもしれないですね!
鮮度の一滴のパッケージマーケティング解説でした。
この記事を書いた人
パッケージマーケッター 松浦陽司
1974年、徳島県徳島市生まれ。著書「売れるパッケージ5つの法則と70の事例」と「売上がグングン伸びるパッケージ戦略」を出版。パッケージマーケティングの創始者。パッケージの企画やデザインだけではなく、商品開発の根幹であるブランディングも行い、多数の成果をあげている。中身商品は同じでも、パッケージを変えただけで売上10倍になったり、単価が5倍になったりする事例を生み出している。その他、執筆活動、講演活動なども行う。ブランド・マネージャー認定協会2級&1級&ミドルトレーナー。